認知症の記憶の失われ方と物忘れの違い

認知症

高齢になると認知症でなくても、脳の老化による神経細胞の損壊で記憶が失われていきます。

認知症の記憶の失われ方ともの忘れの違い

  • 認知症は、経験したことを記憶として脳に刻み付けることが苦手になるため、ヒントを与えても思い出せない
  • 老化によるもの忘れは、わずかでもヒントを与えると、名前や年を思い出したり、少し時間を置くと思い出すこともある
認知症老化によるもの忘れ
進行するきわめて徐々にしか進行しない
あったことの全体を忘れるあったことの一部を忘れる
時間・場所・人がわからなくなる時間・場所・人を忘れることは少ない。
普段の生活ができないことがある普段の生活はできる
幻聴・幻覚があることがある幻聴・幻覚はない
人格崩壊に至ることがある人格崩壊に至ることはない

基本的な人間の知能の記憶とは

人間の知能を構成する基本的な記憶とは、必要に応じて脳内細胞で行われる精神機能

記憶の3ステップ

ステップ1・学習(脳が情報を受け取る)

ステップ2・保持(脳に刻んで蓄える)

ステップ3・想起(何かの折に情報を呼び起こす)

記憶の分類

  • 意味記憶…よく知られている知識や事実、一般的な知識に関する記憶(例:日本の首都は東京など)
  • エピソード記憶…自分の経験や出来事に関する、感情との結びつきが強い記憶(例:お誕生日に祝ってくれたなど)
  • 手続き記憶…何度も体験し、身体の動きなどで覚える記憶(例:自転車に乗る、歯を磨くなど)

認知症による記憶の失われ方

  • 認知症の初期のうちは、長年住み慣れた街の中で迷っても、何とか自宅までたどり着くことができ、この状態は症状がかなり進むまで維持される
  • 具体的な日にちや、最近の出来事は忘れても、自分の誕生日を大勢の人に祝ってもらったなど、体験や感情とともに習得した記憶(エピソード記憶)は、認知症の症状がかなり進行しても保たれる
  • 時→場所→人の順番で失われる記憶
    1. 「時間や月日」が定かでなるなるころには⬇️
    2. 「場所」の記憶に問題が生じ⬇️
    3. 自力で自宅に戻れなくなるころには⬇️
    4. 「人」の記憶がはっきりしなくなり⬇️
    5. 肉親の判断もできなくなる

失われる順序

(失われやすい)

  1. 最近の出来事⬇️
  2. 複雑な記憶⬇️
  3. 知的に習得した知識(意味記憶)⬇️
  4. 感情的な記憶(エピソード記憶)⬇️
  5. 身体の動きなどで覚える記憶(手続き記憶)

(失われにくい)

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